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オープンイノベーション事例紹介:SEMITEC株式会社

最終更新: 2019年11月27日

conect+のオープンイノベーション事例のご紹介として、SEMITEC株式会社様にインタビューを致しました。 電子部品の製造販売が主軸のSEMITEC株式会社様がどのようにIoT化を推進しているのか? どのような背景で協業に取り組んでいるのか?そのようなテーマでお話し頂けました、ぜひご覧ください。



「IoTはスモールスタートで取り組む。協業はお互い、歩み寄るのが大事。」




SEMITECは1958年に設立した企業です。電子部品の製造販売を事業としており、主力製品は温度センサ「サーミスタ」。このサーミスタは、電子体温計やパソコン、冷蔵庫、自動車など、私たちの身の回りにある製品にたくさん使われています。その他、さまざまなセンサなどを手掛けており、海外でも幅広く展開しています。 その「サーミスタ」をモジュール化し、必要とするスタートアップやベンチャーに活用してもらえないだろうか、ということからプロジェクトをスタート。プロトタイプには3Dプリンタを活用するといったスモールスタートで取り組んでいます。 conect+はこのSEMITECと協業し、IoTの推進に向けて貢献しています。


SEMITEC株式会社 営業  日改邦充 様 開発  小池泰孝 様  永野さやか 様




トリリオン・センサー・ユニバースを危機として捉え、新ビジネスを模索



─SEMITECとは、どのような会社なのでしょうか?


日改:SEMITECは1958年に設立し、去年の2018年に60周年を迎えた電子部品メーカーです。

電子部品のなかでも「サーミスタ」という温度センサを主力にしていますが、総合センサメーカを目指して圧力センサやガスセンサの開発にも取り組んでいます。


─温度センサとはどのようなものですか?


日改:一番、イメージしていただきやすいのは電子体温計や耳式体温計ですね。体温を測るときに温度センが使われています。

また、エアコンで温度を設定するときに使う室内温度検知、給湯器の風呂温度検知、シャワー温度検知などもあります。

あまり気が付かないと思いますが、パソコンやタブレット、カメラなどにも入っています。充電できるバッテリーを積んでいる製品は、温度があまりにも高かったり低かったり、充放電するとバッテリーの寿命が落ちてしまいますよね。それに発熱すると危険です。そのため、温度センサでモニタしているんです。

取引先は家電・自動車・産業・医療機器メーカなど多岐にわたっています。

なので、皆さんの生活している家のなかで、我々が製作した温度センサは、300個は入っていると思います。


─そんなに入っているのですか!


日改:例えば自動車では、エンジンはもちろん、エアコンや温かくなるシートなど、1台に約30種類の温度センサが使われているんです。


─会社の特に特徴的なことはなんでしょう?

日改:製品カタログを見せてご購入いただく、というよりも、お客様から「こんな用途で使いたい」などの要望に対して「こんな温度センサはどうですか」と提案するといった、カスタムで製造することを得意としており、お客様と対話しながら温度センサを作り上げることが特徴です。


─そのなかで課題はどのようなことでしょうか


日改:海外のライバル会社が良い製品をつくりつつあることです。日本の技術レベルは高くて品質も良いのですが、中国や韓国を中心としたアジアのライバルは安い価格を武器に頑張っています。お客様も日本製だからという理由で選ぶ時代でもありません。

そういう海外メーカーとはコスト面で戦うのではなく、技術を際立たせたい、と考えています。


─やはり、海外が脅威ということですね。


日改:また、「トリリオン・センサー・ユニバース」というのもあります。

「トリリオン(Trillion)」とは「1兆」という意味です。起業家のヤヌシュ・ブリゼック(Janusz Bryzek)氏は、毎年1兆個を上回るセンサを活用し、社会に膨大なセンサネットワークを張り巡らせることにより、地球規模で社会問題を解決するというトリリオン・センサー・ユニバース構想を提唱しています。

この、トリリオン・センサー・ユニバースは社でも重要視しています。センサメーカにとっては楽しみなことなんですけど・・・・


─というと?


日改:我々が作るセンサはそれ単体では使えません。電子基板のなかに組み込み、動くように設計しなければなりません。

トリリオン・センサー・ユニバースは、製品のIC基板にセンサを入れて世界に張り巡らせよう、というものです。 すると、センサ単体しかないSEMITECは不利になってしまう。そこに危機感を持っています。


─センサが組み込まれた状態で流通すれば、そこにセンサを取り付ける理由がなくなりますね。


日改:そうなんです。IC基板に温度センサをはんだ付けして作るのは回路設計者なら簡単にできます。でも、実はそれで測れるのはIC基板のなかの温度だけなんです。

ですので、本当に測りたい場所の温度を高い精度で測るために我々はお客様からさまざまなニーズを聞いて、新しい形や新しい構造のセンサや、過酷な環境にも耐えられるセンサを開発して供給しています。トリリオン・センサー・ユニバースのながれに乗る為に、どのようなセンサが本当に役に立つのだろうか? それはどんなセンサなのかと考えています。測りたいところを測れて精度が良いセンサを作ることが我々、SEMITECの仕事だと考えています。




スモールスタートで取り組む。変わり続けることが重要




─SEMITECで取り組んでいるプロジェクトを教えてください。


日改:先ほど言った通り、センサは単体では使えません。なので、回路が苦手な方でも簡単にICに接続できるよう、データをデジタルに変換できるモジュールを搭載したセンサを開発しました。

それが2015年のことです。最初はプロジェクトではなく、技術部門でのスタートでした。

まず、3Dプリンターでかっこいいケースを作って、プロトタイプを完成させて、展示会に出品しました。IoT事業をはじめたばかりのベンチャー企業などに「センサメーカーなので、温度と精度は保証します」と説明したところ、高い評価を得られました。

また同時に、無線でデータは飛ばせないかなど、さまざまな要望を聞くことができました。とても手ごたえを感じ、「これは来る」と思いました。


─どうしてそのように素早くスタートできたのですか?


日改:スモールスタートだったからです。もちろん、上司も危機感を持っていたので、スモールスタートでやれるのならとバックアップしてくれました。


─スモールスタートでも「許可してもらえない」と悩む企業は多いと思います。


日改:我々SEMITEC社内では、「会社は変わらないといけない」とみんな常に意識しています。環境も市場も変わる。その変化に対応しないと生き残れないと常に考え続けています。

それに、元々あるセンサを活用するだけですから、売れればプラス。ダメでもゼロなだけですしね。


─どのように活用できるのですか?


日改:例えば、熱帯魚をたくさん飼っていて水槽が10個ある。その水槽の温度をスマホで見たい、というとき、センサを水槽に入れるだけで見れるようになります。

また、部屋やお風呂の温度をスマホで見ることもできるようになります。ビジネスとしてはスマート農業としてハウスの温度管理なども可能です。

使い方は無限大だと思いますが、今、我々も活用方法を模索しているところです。


─開発で苦労したポイントを教えてください。


日改:我々はセンサの技術は持っていますが、モジュール化するための技術については正直、詳しくありませんでした。そのため、外部からの協力を得ていく必要がありました。


小池:ちょうどそのタイミングで私が入社しました。私はもともともは無線機器の製品開発を行っていました。そのため、これまでの実績を引き継ぎながら、回路やソフト、無線などの知識を活かして製品開発に取り組んでいます。


─開発の難しさはありますか?


小池:IoTというキーワードでいろんなプレイヤーが参入しており、多くのメーカー、ユーザーが注目しています。センサメーカーだからこそ、といったストロングポイントを生かせる側面があると思います。

いろんな用途に合わせたセンサが作れて、かつ、高精度にこだわるのはセンサメーカーの特徴ですが、そこからさらにプラスアルファがあるのではないか? それを考えるところが難しさですね。


─それはね楽しいことでもありますね。


小池::そうですね。センサメーカーが発信するIoT製品というキーワードで取り組むと世の中に面白いセンサを発信できるのではないかと考えています。

さまざまなニーズに応えられる製品。もしくは特定の用途向けに特化したスペックの製品など。そんな製品を開発したいと思っています。


─開発は小池さんおひとりで?


永野:今、私がサポートを行っています。まだ入社から日が浅いので指示をこなすのが精いっぱい、右も左もわからない状態です。


日改:実は3Dプリンターでプロトタイプを作ってくれたのが彼女なんです。


─どんな製品を作ってみたいですか?


永野:具体的なものはありませんが、女性ならではの製品を作ってみたいですね。


─お客さんの反応などはいかがでしょうか?


日改:今まで私が営業してきたのは、従来からお付き合いのあるメーカーでした。このプロジェクトでお話しをさせていただくのはお付き合いのなかったまったく新しい企業。

そういった企業はセンサのことをあまり知りません。「こういうことに使えないか」といった相談はとても新鮮ですし、「ならば、こういうのはどうでしょう」と提案できることは嬉しいことです。

我々の製品でお客様の悩みが解決できて、ビジネスの領域も広がり、話が膨らんでいる。そのことを強く実感します。



SEMITECという会社をアピールしていく




─conect+を知ったのはどうしてなのでしょう?


日改:conect+の方の以前の仕事で「農業用の温度センサが必要」と問い合わせをもらったことが知り合うきっかけでした。それからしばらくして、センサのモジュール化に取り組もうと、お話をしたときにconect+のサービスを知り、我々が新しく展開しようとしているビジネスに使えるのでは、と思ったことから協業することになりました。

というのは、我々でセンサのモジュールは作りましたが、そのデータを見える化するのが課題だったんです。conect+を活用することでセンサのデータが可視化できる。そこからニーズに合わせてカスタマイズすることで、今までと違った製品を作ることができると考えました。



小池:ただ、協業は簡単と思われがちですが、考え方の違う者同士が組み合わさるのが難しいところです。こちらが難しいと思っていることが、相手には簡単のことだったりする。どれだけお互い歩み寄れるか、それを具体的に調整していく作業が意外と大変ではあります。


─今後はどのように展開するのでしょう?


日改:まだプロトタイプで製品化はできていません。今年こそ販売につなげたいと思っています。今は温度センサだけですが、いずれはいろんなセンサを活用したいとも考えています。

また、IoTに取り組みたい企業からの相談も増えてきています。conect+の新しいプラットフォームとセットで展開していきたいとも思っています。

そのため、展示会などでいろいろな分野の方々に見ていただけたらと考えています。ここからうまくつなげていければうれしいですね。


小池:我々は、世間に露出することが少ないのですが、自社の製品を作り、エンドユーザーに触れていただくものができると、SEMITECというのはこんなものを作っている会社だと情報発信できるようになると思います。IoTというキーワードで世の中に発信できる製品を作る。そのことで本業もPRできればと思っています。

また、新しいお付き合いが増えていくことで、新しいやり方を取り入れることができます。そのことで新しい目線が広がるチャンスだとも考えています。


永野:今までは直接、お客様に触れていただく製品はなかったのですが、一般のユーザーが使っていただけるような製品を作ることで、友達にも「これを作っている会社に勤めています」と言えます。そして、「ああっ、それ使っている」と言われるようになるのが夢です。


日改:そのためにも、SEMITECのロゴが入った製品をもっと普及させて、会社の知名度を上げる事業展開が出来たらと思います。


─ありがとうございました。





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